令和7年12月定例会関連

一般質問

森林環境譲与税の将来への投資部分について

片山 通告に基づいて、1点、森林環境譲与税の将来への投資部分について質問いたします。森林環境譲与税は、森林整備というハード事業だけではなく、担い手育成や確保、普及啓発など将来に向けたソフト事業にも活用することが、法律上明記されています。本町では、未就学段階から小学校・高等学校における森林環境教育の取組にも活用されています。先の決算審査特別委員会でも、森林に親しむという点で一定の成果があったと示されました。これは、ソフト事業が地域の教育と将来の担い手確保に役割を果たしていると受け止めています。

しかし一方で、将来の位置づけについては「検討中」との答弁であり、予算上の安定性が十分に確保されているとは言えません。担い手育成や森林環境教育の取組は、単年度で成果が完結する性質のものではなく、長期的・継続的に取り組むことで、初めて町の森林を未来へ引き継ぐことができます。令和6年度は、歳入が支出を下回り、基金の取崩しが生じているとの説明もありましたが、ソフト事業の縮小は、将来の担い手不足や森林の公益的機能低下を招き、結果として中長期的な損失につながります。

ここで改めて申し上げますが、私が指すソフト事業とは、間伐や路網整備といった施設インフラ整備そのものではなく、森林教育や人材育成、普及啓発、地域と森林をつなぐコーディネート機能など、時間をかけて担い手や理解者を育てていく中長期的な取組を指しています。短期的な数字では分かりにくい一方で、将来に森林を引き継ぐ土台となる分野だと考えています。

そこで町長に伺います。森林環境譲与税のうち、人材育成や担い手確保、普及啓発など、将来のソフト面の事業について、特に森林教育の予算については、削減することなく継続的に確保していくべきと考えますが、どうお考えでしょうか。また、今後の森林環境譲与税の歳入見通しを踏まえ、ソフト事業について最低確保枠の設定や中期計画への位置づけなど、継続を前提とする仕組みづくりをどのように進めていくのか、町長の所見を伺います。

町長 森林環境譲与税は、森林の持つ公益的機能を維持・増進することを目的に創設され、「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」において、その使途として、森林整備、担い手の育成・確保、公益的機能に関する普及啓発、木材利用の促進、その他森林整備の促進に関する施策が挙げられています。本町における森林環境譲与税の活用については、町の持続可能な森林経営のため、間伐や作業道補修など森林作業を支援する施策に重点を置きながら、将来世代への責任を果たす観点から、担い手育成や普及啓発などにも取り組んでいます。

このうち森林整備については、森林の公益的機能維持のための作業に加え、近年では異常気象による豪雨や強風などの災害発生を受け、倒木や林道崩壊など、緊急性のある復旧事業への対応も重要な課題となっています。現在本町では、これら復旧事業に対して一般財源を充当していますが、国費による災害復旧の対象とならない規模の復旧について、森林環境譲与税を充当したり、復旧に備えて一定割合を基金に積み立てる事例も全国的に広がりつつあります。本町でも、十分な基金額を準備する必要があると考え、事例研究を進めているところです。また、担い手の育成・確保については、森林組合に携わる担い手が不足している現状において、担い手に対する直接的な補助や支援が期待されており、今後、関係機関と協議しながら支援策の可能性について検討を進める必要があると考えています。

以上を踏まえ、1点目のソフト面の事業、特に森林教育について、予算を削減することなく継続的に確保することについてです。令和6年度の森林環境譲与税充当事業に要した経費は、収入を上回り、基金を取り崩して対応している状況です。さらに、令和7年度の譲与税は、当初予算における歳入見込みを実際の歳入が下回る見込みとなっています。こうしたことから、支出を抑制しつつ、より一層効果的な活用を図る必要があります。このため、森林教育に要する経費については、事業の価値や必要性は認めつつも、基金残高を確保し、収支状況を見極めながら、限られた財源の中で適切な予算配分となるよう、予算編成の中で慎重に検討してまいります。

2点目の、ソフト事業への最低確保枠の設定など、継続を前提とする仕組みづくりについてです。森林環境譲与税を活用した事業の実施に当たっては、森林の公益的機能の維持において優先度の高い事業を着実に実施しつつ、ソフト事業についても継続に努めてまいりますが、最低確保枠を設定する仕組みは現時点では想定していません。

片山 先ほどの答弁では、森林環境譲与税のソフト事業について、最低確保枠の設定などの仕組みは想定していないこと、また限られた財源の中で予算編成の中で慎重に検討するとのことでした。一方で、国は森林環境税および森林環境譲与税について、森林の有する公益的機能を維持・増進し、温室効果ガス削減や災害防止のために必要な森林整備や地域材を安定的に確保する観点から創設した制度であると説明しています。国会審議においても、「豊かな森林を次世代に引き継いでいくことは我々の使命である」との趣旨が示されています。第198回国会本会議の記録です。

こうした国の制度趣旨、将来に向けた中長期的な投資として位置づけられている森林環境譲与税の性格に対して、本町として、ソフト事業、とりわけ森林教育について、最低限の確保水準や中長期的な位置づけを持たず、毎年度の予算編成ごとに判断するという運用方針は、どのように整合するとお考えでしょうか。中長期的投資という性質を持つ譲与税に対して、短期的な財政状況を理由とする答弁が続いているように受け止められます。安定的な財源による将来への投資という方向性との関係について、改めて町長の所見を伺います。

町長 森林環境譲与税の性格と、本町におけるソフト事業への考え方との整合性という点かと思います。
先ほども答弁しましたとおり、森林教育をはじめとするソフト事業は、将来の担い手育成や森林の公益的機能に対する理解を深めるための中長期的な取組であり、継続性が重要であると認識しています。議員ご指摘のとおり、継続的な実施を支える仕組みづくりが必要であるという点については、私も重く受け止めています。一方で、森林環境譲与税の歳入状況や、近年の豪雨等による緊急的な復旧需要、将来世代に負担を先送りしないための基金確保など、安定的な対応へのニーズが拡大していることも事実です。そのような中で、ソフト事業に一律の最低確保枠を固定的に設けてしまうと、緊急性や優先度の高いハード事業への対応が難しくなる可能性もあります。このため、現時点で機械的に枠を設定することは、森林環境譲与税の中長期的な活用という観点から必ずしも適切ではないと考えています。予算措置の中で、継続を前提としながら整理を行っていくという考え方であります。

片山 継続について伺います。倒木や林道被害などの災害復旧、また基金確保の必要性から、森林環境譲与税を復旧事業に配分する、あるいは基金積立を検討しているとの説明がありました。しかし、総務省および林野庁が示す制度趣旨においては、森林環境譲与税は森林の公益的機能を維持・増進するため、地方財源を安定的に確保し、森林整備、人材育成、啓発活動を計画的に進めることを目的としています。主たる使途として災害復旧を位置づける制度ではないはずです。

災害復旧の必要性を理由に、制度の柱である人材育成や森林教育といったソフト事業を圧迫し、削減し得るという運用は、将来への投資としての制度趣旨と整合しないのではないでしょうか。災害復旧や基金確保を理由として、ソフト事業の削減を正当化できるとお考えなのか、町長に伺います。

町長 災害復旧が結果としてソフト事業を圧迫するのではないか、というご懸念だと受け止めています。ただ、災害復旧については単なる復旧のみを目的とするものではなく、森林の持つ公益的機能、多面的機能を十分に発揮させるための適正な森林整備の一環であると考えています。ソフト事業についても、基金残高や譲与税総額を見極めながら、ハード・ソフト双方の事業を進めていく必要があります。
議員ご指摘のとおり、単年度判断によって継続が危ぶまれることへの懸念は私も認識しています。そのため、森林環境譲与税の複数年度にわたる歳入見通しを整理し、森林教育などのソフト事業についても、中長期的な目標や位置づけを明確にしたうえで、事業継続を前提として進めていく考えです。

片山 森林教育について、その価値と必要性は認めているとの答弁でしたが、同時に削減の可能性にも言及されています。事業価値を認めるのであれば、まず削減回避を優先するという考え方が自然ではないでしょうか。現段階で削減の可能性を残している理由について、改めて伺います。

町長 これまで森林環境譲与税を活用し、ソフト事業とハード事業の両面で取り組んできましたが、近年はソフト事業の割合が高くなっている実態があります。次年度予算については、現在まさに編成作業および関係機関との協議を進めている段階であり、現時点で明言できる状況にはありません。議員からの「削減することなく継続的に」というご質問に対しては、全体予算の適正配分の中で判断する必要があるため、削減の可能性についても答弁したものであります。

(進行の整理が入ったため、実質的にここで質問は終了しました。)

片山 長期的・継続的に取り組むべきであるという前提で、最後に伺います。町長は、短期的な年度判断ではなく、中長期的な視点を持って森林教育を継続していく考えはあるのか、その点についてお答えください。

町長 森林教育は、将来に向けて担保されるべき重要な取組であると考えています。短期的な財政状況に左右される面はありますが、中長期的な視点に立ち、必要な予算については総合的に判断しながら配分していきたいと考えています。森林教育のみを特別な聖域とする考えはありませんが、森林環境譲与税の制度趣旨を踏まえ、全体の事業バランスの中で今後も進めてまいります。